少年期・青年期のASD
- ファミリアくわな鍼灸院
- 3月15日
- 読了時間: 6分
前回は児童期のASDについてでした。
今回は少年期~青年期のお話です。
このころには様々な問題を自覚できるようになります。
診断がつかなかった方も生き辛さの原因はここにあったのか!と現状を変えるきっかけになれば、と思います。
少年期・青年期の特徴
少年期・青年期の注意点
接し方
※乳幼児期・少年期の特徴などは割愛しています。
※少年期と青年期で特徴が同じものは分けて表記していません。
すべて当てはまると解釈してください。
1.少年期の特徴
対人関係の難しさ
少年期:他の子供たちと遊んだり、友達を作ったりすることが難しい場合があります。社会的なルールや期待(例: 目を合わせる、会話の順番を守る)を理解するのが苦手です。表情や身振り手振り、声のトーンなど、言葉以外のコミュニケーションが苦手で、これが誤解を招くことがあります。
青年期:友人関係や恋愛関係の形成が求められるが、ASDの人々は社会的なシグナル(表情や非言語的コミュニケーション)を読み取るのが難しいことが多いです。
言葉で伝えることができても、感情や意図が伝わりにくいことがあります。
また、反応や行動が不自然に見える場合もあります。
計画力や時間管理の困難
共通:学校や仕事で求められるスケジュールや計画を立てること、期限を守ることが苦手な場合があります。適切なサポートや構造化された環境が求められます。
特定の興味に集中
共通:ある特定の物やテーマに非常に強い関心を示すことが多く、他の活動に目を向けることが難しいことがあります。例えば、恐竜や電車、数字などに夢中になることがあります。
日常のルーチンを重視
共通予測可能な日常生活を重視し、環境の変化や突発的な出来事に強い不安やストレスを感じることがあります。
友達との関わりの発展: 少年期になると、他の子どもたちと関わる意欲はあるものの、関わり方や遊び方がわからず、友達を作ることが難しいことがあります。自分の感情や他者の感情を理解し、適切に反応することが課題です。
自己理解の発展
少年期:自分が他の子どもたちと異なることに気づき始め、自己認識が高まる時期でもあります。この時期に自己肯定感が低くなることがあり、社会的な孤立感や不安を感じることがあります。
青年期:自己認識が強まる時期であり、ASDの若者も自分の特性や違いに気づくことが多いです。自己肯定感や自信を持つことができる一方で、自分が社会の中で「異なる」と感じることに悩むこともあります。
2. 注意点
学校などでのコミュニケーションの注意点
学校では集団活動やルールに従うことが求められるため、ASDの子どもにとってはストレスがかかりやすいです。特に集団行動が苦手である場合、孤立感や不安が増すことがあります。
全体への号令を自分事ととらえることや、言葉の背景を読み解くのが苦手な子が多く、指示が不明瞭な場合行動できない子がいます。「自分にも言われてる」と理解するトレーニング、「わからない」と伝えるトレーニングが必要です。
再三申しておりますが孤立感や不安を言語化するのが難しい為、モヤモヤを心の中にため込んでいきます。
家庭での注意点
養育者が特性を理解せずに「いつまでやってんの?」「なんで勉強できないの」などと言葉をかけてしまうと、安全基地であるはずの家、家族が本人の孤立・不安感を助長することになります。
家庭内でのルーチンや予測可能な環境を作ることで、子どもが安心感を持ちやすくなります。
感情のコントロール
感情の起伏が激しいことがあります。例えば、授業の変更や教室の変更、急な出張や顧客対応などに対して強い怒りや不安を感じることがあります。
周りからの孤独感・疎外感・本人は至って悪いことしていないのに・・・怒られる。
仲間外れにされる。わかってくれない。でも上手く伝えることができない。
といったモヤモヤした思いが積もり積もった結果、キレる・パニックになる・暴れるといった行動に走る子、周囲を『敵だ』と認識するようになり、自分が生き辛いのは『敵が多いからだ』と武器や火器を手に取って攻撃的になる子もおり注意が必要です。
3. 接し方のポイント
明確で具体的な指示
曖昧な表現や暗黙のルールが理解しづらいことがあるため、明確で具体的な言葉で指示を出すことが大切です。「今、何をすべきか」具体的で明確な言葉を使い、指示や期待を伝えることが有効です。
視覚的なスケジュールや絵カードを使うことで、次に何が起こるかを予測しやすくなり、安心感を与えることができます。
感情の理解と共感
ASDの子はどのような問題に直面しているのかを理解し、いきなり否定するのではなく共感的に接することが重要です。
会話のキャッチボールは「でも」ではなく、一旦「なるほどね」を使って受け止めてあげてください。
否定形の「でも」を使うと受け止めておらず、聞いてくれていないと思われてしまいます。
「でも」は最後に「でも、その気持ちもわかるよ」という感じで使いましょう。
この部分はまた個別に取り上げます。
特定の興味を尊重
特定の興味に集中することはASDの子どもにとって大きな強みです。
この興味を学習や活動に結びつけ、積極的に活かす方法を考えるような支援が重要です。
社会的なルールやマナーを教える
社会的スキルが不足している場合、簡単なコミュニケーションスキルや友達との遊び方、感情の表現方法を練習することが有益です。ロールプレイや実際の場面で練習することが効果的です。
自己肯定感を育てる
成功体験を重ね、自信を持てるように励ますことが重要です。特に小さな成功を積み重ねることで、自分の強みを実感しやすくなります。
予測可能な環境を作る
学校や職場での支援が必要な場合は、個別の支援計画や環境調整を検討することが重要です。例えば、静かな環境を提供したり、毎日のルーチンや予測可能な活動を作ることで、安心感を提供することができます。特に学校生活や家庭でのスケジュールを安定させることが重要です。
ASDの少年期は、社会的なスキルや感情のコントロールが発展しつつも、多くの課題に直面する時期です。接し方としては、理解と共感をもってサポートし、明確な指示や予測可能な環境を提供することが大切です。また、子どもの強みを活かし、自己肯定感を高めるための支援が重要です。
青年期は、社会的、感情的、認知的な成長と挑戦が伴う時期ですが、理解とサポートを通じてその特性を生かし、自己実現を支援することが可能です。接し方においては、柔軟で理解深い態度を持ち、個別のニーズに応じた支援を行うことが大切です。
Comments