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株式会社ヒトボディ第四話〜たるみを防げ!取引先からの理不尽な圧力(重力)〜

その日、顔面支社 表情筋課に一本のメールが届いた。

件名は——「至急対応依頼:頬部下垂傾向の調査について」


「……また来たわね、“あの取引先”から」


課長の表里 笑子(おもてざと えみこ)は、ため息をつきながらメールを開いた。

送り主は、外部環境の巨大クライアント、重力産業株式会社。




「弊社からの引力業務に対し、御社・表情筋課の“抗力”が不足しており、

 全体として“頬部たるみ”の傾向が見受けられます。業務改善を求めます」




「……“たるみ”を、うちの責任って言うの!?」


先に声を上げたのは、若手の挙上モモエ。

「こっちは毎日、表情引き上げルーティン回して、笑顔も喜怒哀楽もフル稼働なのに!」

「ねぇ課長、これもうパワハラじゃないですか?」



「落ち着きなさい。外部圧力を跳ね返すには、筋肉と戦略の両方が要るわ」


表里は立ち上がり、ホワイトボードに書き始める。


1.頬筋チームのストレッチ強化

2.前頭筋・顎関節課との連携再構築

3.重力産業との“引力交渉”会議開催



その日の午後、オンライン会議ルームに重力産業の代表——

**加圧 圧三**が姿を現した。

「表情筋課さん、抗力が弱まってるのは事実ですよ。我々としても、引力の安定供給は止められませんので」


「そちらの一方的な“供給”に、現場が疲弊してることをご理解いただきたいですね。

 ——必要なら、環境整備部にも訴え出ます」


表里の静かな一言に、空気が凍る。



会議後、若手たちはポカンとしながら表里を見つめた。


「課長、今の……勝った、んですか?」


「交渉は“持ち上げ合い”よ。私たちは笑顔で抗うしかないの。でも、たるませっぱなしにはしない。それが、表情筋課の誇りよ」


頬が、ふっと上がった。


その日から、社内掲示板には新たな標語が貼られた。


「重力なんかに、顔、下げられるか。」



今回のストーリーはいかがでしたか?


誰もたるみたくてたるんでいるんじゃない!


顔全体の筋肉が連係することで重力産業に対抗しましょう!



次回は…表情筋課咬筋グループが舞台ですよ!

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