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株式会社ヒトボディ第十話【顔面支社のゴールデンウィーク!】〜小顔マッサージ、至福と試練の90分〜

「では、本日より長期休暇に入ります」

表情筋課 課長・**表里 笑子(おもてざと・えみこ)**の一言で、顔面支社に安堵の空気が流れた。


「やったー!」

頬部グループの笑田 ほころが、両頬をピクピクさせながら叫ぶ。


「で、課長……結局どこ行くんでしたっけ?」

咬筋グループの**噛嶋 剛(かみしま・ごう)**が尋ねると、課長はニヤリと笑った。


「“顔面再生リゾート・コガオの湯”よ。全身じゃないわ、顔面よ。筋肉単位の癒し体験、たっぷり味わいましょう」


「……マッサージですか?」

眼輪筋グループの瞬木 るいが瞬きをしながら呟く。「圧、強すぎないといいな……」



温泉地に到着した一行。

待ち構えていたのは、国家資格持ちのベテラン施術師・小顔 真理(こがお・まり)。

その指はすでに戦闘態勢だ。


「はい、では咬筋さんからいきましょうか」

「え、俺!?」と噛嶋。


ベッドにうつ伏せになると、次の瞬間。


「ぐあああああああああ!!!」

響く悲鳴。

表里課長が笑う。「咬筋って硬いから、仕方ないわね」


「ゴリッ、ゴリゴリって音がしてるんすけど!? 俺、削れてません!?」



続いて施術を受けた前頭筋グループの**眉上 真(まゆがみ・まこと)**はというと。


「……無念」

その顔は一切動かない。だが、うっすら涙を流していた。


「これが……緩むという感覚か……」



眼輪筋グループの瞬木は、施術の圧に対して完全防御態勢に。


「まばたき止まらん! むしろ増えてる! リラックスって何だ!」



頬部グループの笑田 ほころはというと……

「あああっ、頬肉がっ……伸び……戻ったぁあああ! 幸せェェェ……」



90分後、全員が脱力状態で畳に寝転んでいた。


「……顔って、マッサージで生き返るんすね……」

噛嶋がポツリと漏らす。


「いや、私たちがいかに酷使されていたか、よくわかったわ……」

課長も頷いた。



その夜、顔面支社のグループチャットには一斉に同じスタンプが投稿された。


「明日も働けます(ただし条件付き)」



※特記事項:

この研修の費用は、本社より福利厚生枠で全額補助された。

今回のストーリーはいかがでしたか?


身体同様に顔も疲れます。

疲労困憊では良いパフォーマンスは発揮できません。

定期的に疲労回復してあげましょう!

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